第214章

天瀬震の口元の葉巻が、ぱたりと床へ落ちた。本人も弾かれたように立ち上がる。

 天瀬震は藤原邦達をしばらく睨みつけ、やがて腹の底から笑った。

「藤原邦達……お前は昔から変わらず狡いな。島宮奈々未が、俺と藤原園歌の娘であるはずがないだろう。俺は島宮奈々未本人に聞いた。あいつは二十五歳で、十二月生まれだ」

「島宮奈々未は九月生まれだ。園歌がわざと十二月に変えたんだ。お前に知られたくなかった――あの子が、お前たちの娘だってことをな」

 藤原邦達は感情を剥き出しにして言い放つ。

「当時、園歌がお前に会いに行っただろ。まさか忘れたなんて言わせない。お前が園歌に何をしたか」

「……島宮奈々未が...

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